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品質工学
品質工学とは

  品質工学は、「ばらつき」に強い設計をするための手法として発展してきました。 別名「ロバスト・デザイン(robust design)」とも呼ばれるように、様々なばらつき原因に対してロバストな(頑健な、影響されにくい)技術/製品を最短期間で能率よく開発・設計する手法が品質工学の根幹をなしています。 品質工学では「ロバストネス(robustness)」という言葉をよく使いますが、これは「製品/システムが諸々のバラツキの原因に対して安定である(影響されない)こと」を意味します。 バラツキの原因を大別すると、(1) 材料や部品のバラツキ、(2) 製造工程での加工/組立のばらつき、(3) 製品の経時変化、(4) 顧客での使用条件の違い(ex.環境温度の変化) があります。 製品の設計、製造はこれらのバラツキとの戦いです。 設計時に想定した典型的な条件(設計中心値)でのみ製造、あるいは使用される製品は皆無といってよいでしょう。 多くのトラブルは製造条件または使用条件が中心値を外れることによって生じます。 品質工学の目的は、製造条件や使用条件のバラツキがあっても、あるいは長期間の稼動後も、なおかつ仕様どおりの性能を発揮する製品を実現することにあります。

品質工学は「タグチメソッド」とも呼ばれています。この名称は、実験計画法の大家であった田口玄一博士によってよって創始され、かつ集大成されたことに由来します。その有効性が米国で認められてこの名前が付きました。もとは実験計画法を出発点にして発展した手法ですが、現在では実験計画法とは完全に別の大きな独立分野に成長しました。これは、実験計画法にはない、ロバストネス(robustness)という概念を持ち込み、それを実現する道筋を示したことによります。 以上に述べた、ロバストネスを実現するための設計の最適化手法は品質工学の中で「パラメータ設計」と呼ばれますが、これに加えて今日では、「MT(Mahalanibis-Taguchi)法」や「直交表によるソフトウェアテスト(デバグ)」、等の新しい領域が開拓され、さらに発展しつつあります。 1992年には品質工学を専門に扱う学会である「品質工学会」が設立され(設立当初の名称は「品質工学フォーラム」)、定例の6月の研究発表大会では毎年1000人以上の参加者の下で100件を超える発表が行われるにいたっています。 

 

パラメータ設計

   設計パラメータ(品質工学ではこれを「制御因子」と呼びます)を最適化することによって、ばらつきの原因(これを「誤差因子」と呼びます)に対して強い(影響を受けない)設計を実現する手法です。いろいろな設計(=値が異なる設計パラメータのセット)に対して誤差因子によって揺さぶりをかけて、最も安定な(揺れの少ない)設計条件を見つける、というのが基本的な考え方です。安定性(robustness)を評価する尺度として「SN比」という指標を使います。また、設計パラメータのいろいろな組合せ条件を「直交表」で発生させて実験することにより、実験能率の向上を図っています。  

MT(Mahalanobis-Taguchi)法 

    個体の持つ多数の特性データに基いて、その個体が正常であるか(あるいは特定のグループに属しているか)を判定する手法です。例えば、製品の製造工程で計測されたデータを基に、完成時のできばえ(製品特性)を事前に予測する、というようなことに応用できます。ここでの「個体」は必ずしもモノである必要はありません。製造装置の状態を示すデータ(複数項目)をリアルタイムでモニターし、正常に稼動しているかどうかを判断する場合は、個々の瞬間(または時間帯)が「個体」です。判定のの尺度として「Mahalanobis距離」という統計学の概念を用いるのがMT法ですが、最近はMahalanobis距離を使わない方式(T法)や、その他いろいろなヴァリエーションが開発されるにいたっています。いずれにしろ、判定は、個々のデータ項目ごとではなく、一元化した指標で行うのが特徴です。この手法の応用範囲はきわめて広く、工業製品の検査(合否判定)、状況判断(機械装置の稼動状況、危険予知)、画像判定(文字の判読、医療画像からの病名診断)、健康診断、不動産適正価格の算出、等々、枚挙しだすときりがありません。  

直交表によるソフトウェアテスト

    ソフトウェアのテストパターンを直交表の因子の組合せで生成し、「2つの因子の全ての組合せが出現する」という直交表の特徴を利用して、少ないテストパターン数で大きなテストカバレジを得る手法です。ソフトウェアテストの有力な手法として、近年注目されつつあります。特に富士ゼロックス(株)はこの手法をいち早く確立し、「HAYST法」と名づけて積極的に活用していることで知られています。 技術上のキーポイントは、ソフトウェアを因子とその水準で記述することと、直交表の高度活用にあります。通常、ソフトウェアテストでは2水準の大規模な直交表を使いますが、これに対して、多水準列の作成、禁則処理への対応、等のためにいろいろ特殊な変形操作を施すことが必要になります。従って、ソフトウェア技術者と直交表(品質工学)の専門家の共同作業が成功への近道です。